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努君的徒然草2014~

元在ベトナム日本語教師で、看護医療系受験予備校講師の努くんの公式ブログ

日々の行動、活動や、思い出話。 日本語教育や国語教育のこと。 鉄道や駅弁の記録。 ベトナムのことなどなど。 徒然に記します。

「介護の日本語」と「介護の心」は、難しいよね

EPA ベトナム 教師生活 日本語教育 自嘲気味 追憶

どのように書き出そうかと戸惑いつつ、結局は単刀直入に書くのであるが、、、(笑)

いや、笑うことではない。

 

最初にお断り。僕は日本の社会福祉法人に日本語教師として雇われたことはあるけれども、看護や福祉の専門家ではない。教え子の看護師や介護士は日本人もベトナム人も数え切れないほどいるけれど、あくまでも、日本語教師の視点で書くこととする。

 

あるSNSで僕が参加している「超高齢社会」「介護」「看護」「医療」などがキーワードの研究会グループ内投稿を巡って、まあ今風に言えば(ネット風に言えば?)「炎上している」、「荒れている」投稿がある。いや、ある意味真剣な議論であり、炎上している部分もある。

その内容(というか、当該の案件を)を「拡散」する意図は僕にはないので、問題となっている(話題として取りあげられている)内容を書き写したり、具体的に載せたりする気はない。ただ、「何がどうした」の部分は書かないと、話が前に進まないので、端的に言うと、、、

介護施設の利用者さんに対して、施設さんの職員?が「言語的な拘束・虐待」を行ったと思われることを示唆するワープロ書きの用紙を、利用者さんの身内の方が発見して憤慨し、それを知った別の方が拡散したと。

そういうことなのだ。

要は介護施設の利用者さんに対するトラブル?(そもそも、既にトラブルになっているのかどうかはよくわからないのだが)をグループ内で情報共有のつもりか、拡散のつもりかで投稿された方がいる。その辺の意図は横に置く。(よくわからないし、僕が突っ込むところではないから)それで、ここで書きたいのは、その拡散された内容の方なのだが。

 

ネット上には似たような案件は散見されることで、ベトナム・ダナンの教室でも「こんな表現をどう思いますか?」と教材に使ったことがある。このことだけは、そのグループに投稿しといた。あ、最後にひと言だけ「酷いですね」とも書いたけど。

 

本題はここからである。

先にお断りしておくけど、僕はその利用者さんの状況とか、日常のケアの状況とか、施設さんの事情とか、諸々の事情とかは一切わからないし、知る術もない。なので、介護そのものについて云々する気もないし、云々することはできないと思う。だから以下に書く事は、あくまでも「文面上」の話である。

 

その投稿された「ワープロ文書」を見て、まず思ったのが、文面上は「ひでえな」であった。

「ことばの虐待」はあるよね、実際。

僕は、父の死去の直前に、お世話になっていた介護施設の職員(事務職なのか、介護職なのか、他の職員なのかは知らんし、確かめなかった。「この野郎!」よりも、「レベル低いな」と言う思いの方が強かったんで(笑))の「◯内さん、もうダメなの?」って大きな声で話しているのを聞いちゃったんで、ま、「介護施設ってこの程度なの?」って意識が強く、もちろんその逆の施設も知っているし多いいのだろうけど、今回の投稿を見て、正直「さもありなん」って思っちゃった。でも、それでも、その投稿の案件で「なぜそのような文言を使う必要があったのか?」という点はわからないし、知る術もないので横に置いて、兎にも角にも文面上は「ひでえな」なのである。

 

「ひでえな」には、二通りの思いがある。

1.その現場がどういう状況なのか、その利用者さんへの日常の介護がどのような状況であったのかはわからないけど、その点を横に置けば「そういう言い方はないでしょう!」という思い。

 

 で、次の方が僕には興味深くて、

 

2.日本語が酷すぎる(爆)

 2-1.表記上、句読点があったりなかったり、助詞「て・に・を・は」の間違いがあるだけでなく、そもそも「あるべき(置くべき)助詞」が抜けていたり、わかりづらい日本語になっている。

 言い方を換えると「外国人の初中級程度の日本語学習者が書いたり話したりする日本語」みたいな日本語なんですね。

 

そこでふと思ったんだけど、当該の施設さんがEPAによる外国人介護士及び、介護士候補者(現状、インドネシア・フィリピン・ベトナム)を受け入れているってことはないのか?

まさか、俺の教え子いないよな?、、、いや、これ書いたの、俺の教え子じゃないよな!(爆)

あるいは、今わりと受け入れている施設さんが多くなっている外国人、及び外国にルーツを持つ日本人で、介護助手として働いている方とか?

 

ここまでが率直な思いだったのだ。それくらい、稚拙な日本語と、、言っては語弊があるのだが。あるいは、利用者さんにわかりやすいように、なるべく端的に伝わるようにと、工夫して書いたとか?口頭で伝えるための原稿なのだとしたら、まあ、わからんでもない。口語の場合、助詞を省略することは、日本人だってもちろんあるので。なら、なぜ、口頭伝達の原稿だとしても、なぜ利用者さんの身内の方の目に触れちゃったのか、、、、あ、この点は書かないお約束だった(笑)

百歩譲って、仮に「わかりやすいように」という意図なのだとして、日本人が書いたり話したりという文言であるのだとしたら、(見せられたり、聞かされたりした利用者さんの側に立てば)この日本語わかんないよ(笑)

 

だからこそ、もしかして外国人、あるいは外国にルーツがある方が書いたのか?と感じたのだ。

 

あと、実はこれ、自作自演とか、狂言なんじゃないの?とか、一瞬思った。それぐらい変なんだよなあ、、、だけど、それは横に置いておこう。いずれ、わかることだから。

 

そうじゃないという前提で、いろいろ考えている内に思い至ったのだけど、、、、

 

 2-2.これは僕が言うことではないんだろうけど、、、、「介護の日本語」として、どうなのよ?である。

 

と言うのも、、、僕はベトナム・ダナンの教室で、「これから日本式の介護を、日本語で学ぼう」としているベトナム人看護学生に、日本語を0から教えると共に、「介護教育」及び日本での「介護実習」の準備としての「介護の日本語」を教えたことがある。

【このクラスは、ベトナム人医療福祉人材育成プロジェクトとして、ダナンの看護系大学と日本の社会福祉法人が取り組んだもので、後に触れるEPAによる看護師・介護福祉士候補者の受け入れとは直接には関係ない】

その時に、日本語教師として特に留意していたのは、「(利用者である)おじいさんやおばあさんは人生の先輩なのだから、尊敬の気持ちを持って接しなさい」ということと、「自分でできることは、自分でやってもらうように促す。但し、指示するのではなくて、できるかできないのか問いかけて、自らやろうと思ってもらえるように話しかけるんだよ」ということ。(他にもたくさんあるが、以下「企業秘密」(笑))

 

昨今はEPA(二国間経済連携協定)「自然・人の移動」に基づく外国人看護師・介護士候補者を指導するためのテキストが充実してきているけれど、僕がダナンでやっていたのはそのハシリのころの話で、教える方も教わる方も創意工夫が必要だった。(だからオモシロかったのだが)

 

日本語教育のひとつの指導としてロールプレイと言うのがある。登場人物を場面を想定して、それそれの「セリフ」を臨機応変に、実際にその場で「動き、話す」活動である。

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この写真は、全くの0から日本語を学び始めて、17ヶ月目の学生たちが行った「排泄介助」のロールプレイをビデオで見直しているところ。もちろん「排泄介助」を教室でロールプレイできないので、ヌイグルミを使用しながらではあるが。

【ヌイグルミを使わないときは、こんな感じ(車椅子への移乗)】

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実際のロールプレイの時にビデオを回していたから写真が残っていない訳なのだが、黒板の左側の写っていない部分に「場面の設定」が書いてある。この場面を確認した後に、二名ずつ組んで鳩首協議。そして、ランダムに指名して(ネームカードをトランプのように切るので、本当に誰がペアになるのかは、その場にならないと僕にもわからない)、それぞれやってみる。全員の組が終わったところで、それぞれ「良かった点」「あまり良くなかった点」「悪かった点」を指摘し合い、話し合う。僕は黙って聞いていて、(時々、おお~と驚いてみたり、吹き出してみたりはする)その後の「評価と解説」に使えるやりとりを黒板に書き出す、、、、、

ベトナムには、まだ本格的な「介護」の概念はない。3か月の「介護の学び」は終えているものの、実際には「未だ見ぬ介護」を模索しながらの学びは微笑ましかった。

黒板右上は「お通じはありますね(ありましたね)」ではなく、「ありましたか?(どうですか?)そうですか、よかったですね」の方が良いです。という議論から。

その下の方は、排便の後に「はい、立ち上がりますよ」「はい、立ち上がれますね」ではなく、「立ち上がれますか。」と確認してからの方が良いです。という議論から。

つまり、「こうしてください」というのではなく、自分からやろうと言う気になってもらえるような声かけを、彼女たち自身が模索しながらの学びであったということなのだ。この時点で、まだ日本語能力試験N3レベルなのだが、実際この程度の授業はこなしていた。

余談であるが、EPAがまだ成立する前に、日本とベトナムの二国間交渉の日本側交渉団が視察に来た際に、まだ日本語を学び始めて10か月目(一学年前の)学生たちに「車椅子の移乗介助」のロールプレイをぶつけた僕も、鬼だよね(笑)

 

前置きが長くなった。「2-2.「介護の日本語」として、どうなのよ?」の結論。

要するに何が言いたいかというと、日本語を学んで間もない外国人だって「利用者の立場」に立って発話しようと、考えようとしているんだから、介護の現場にいる人たちが「トイレまで、しっかり立って自分で行きなさい」とか「できないのなら、終日オムツ対応にする」とか、いきなり(いきなりではないのかもしれないけど)言っちゃう、、、じゃなかった、書いちゃうのはどうなの?ってことなのだ。

【もちろん、文言は換えてある。そういう趣旨のことばということ。また、他にもいくつかの「ことば」がある】

今回のSNSでの議論がどのように進展していくのか、興味はあるが僕が口を挟む余地はないと思うし、必要ないと思う。ただ、議論は見守りたいとは思う。

 

ここまで書いてきて思ったのは、この「投稿内容」の真偽のほどは別として(前述した「自作自演」の可能性もあると思うのだが)やはり「ことば」に対してもう少し大切にしたいものだと、自戒の念もこめて、強く思う。

 

去年だったか(日本人の)教え子看護学生が、初めての病院実習が終わって帰って来たので「お疲れさん」って飲んだときの話。担当した患者さんが、どのように声かけをしても「はい」としか応えてくれなくて、、、という話になった。そこで僕は、「それで、どのように対応したの?」って聞いたのだけど、残念ながらその答えは失念した。でも、こんな話をしたことを覚えている。

「ベトナムでの話だけど、お互いにまだ稚拙な日本語だから、起床時の声かけのロールプレイさせても、結局「はい」しか応えない、というか応えられない(利用者役の)学生がいたんだよ。それで、介護者役の学生とお互いに顔を見合わせて固まっちゃったわけ。それで、僕はね、こんな話をしたの」

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あのね、◯さんの声かけ、確かにテキストにもそんな表現あるけど、「はい」か「いいえ」で応えられちゃうでしょ?そういうときはちょっと考えて、質問の角度を変えると良いんだよ。

「おはようございます。今日も良い天気ですよ」「はい」

→ → → 「◯さん、おはようございます。今日の散歩はどこに行くんでしたっけ?」「公園かな?」「良かったですね。今日も良い天気ですよ」「はい」「◯さんは、どんな花が好きですか。」「桜の花」「そうですか、よかったですね。公園の桜が満開なんですよ」「あら、うれしいわ、、、」

ほら、会話が続くでしょ?

学生たち:先生、スゴいです。

僕:はい、日本人ですから。

学生たち:爆笑

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日本人の教え子看護学生、「そうか。目から鱗だわ~」って、酔ってとろんとした目で言ってたなあ(笑)

だから、業務に追われて、時間に追われて大変なんだろうけど、ひとつ深呼吸して、ちょっと目先を変えて、落ち着いてことばを選ぶことで切り抜けることができるってことは案外あるんじゃないだろうか。と思う。

もちろん、僕のような教師も同様だと思うわけなのだが。

 

以上、「介護や看護の日本語」に限らず、「ことばって難しいね」というのが結論。

昨夜から他の仕事をしながら、少しずつ考えながら書いていたら、こんなに長くなってしまった。おしまい。

 

以下、余談である。

ロールプレイの学生たち、この学年は、10か月で日本語能力試験N4合格ほぼ100%。3ヶ月間の「介護の学び」を日本語でこなしながら、N3の受験準備をして、受験後に日本での介護研修を目指していた。上のロールプレイの写真の時点で17か月目。ちょうど、日本語能力試験のN3受験の1か月後。ただ、怪しいのがチラホラ(笑)「介護の日本語」を軸に実習の準備をしながらN2の受験準備をし、その後、3ヶ月間の日本での介護研修を経験。行けなかった1名は「ダナン日本語スピーチコンテスト」で特別賞を受賞した。ころんでもただでは起きずに結果を出した。

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 そして、「0初級→N4→介護の日本語(入門編)→「日本式介護を日本語で3か月」学びながら→N3→日本での介護実習準備をしながらN2受験準備→日本での介護実習→N2受験」と、22か月走り続けた学生のうち、、、、

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3名が日本語能力試験N2にストレートで合格。その内、EPA第2バッチに応募した2名が規定(N2以上を取得している者は、1年間のベトナム国内での日本語研修免除)により「飛び級」で第1バッチに参加、既に来日して日本国内の介護施設で活躍している。ダナンに残った1人は、日系の企業で「彼女らしく」大活躍している。

(【追記】写真のヌイグルミお二人が、ロールプレイなどで大活躍した「福さん(男性・70歳の設定)・幸さん(女性・65歳の設定)」ご夫妻である。お元気かしらん。誰が持ってるのか知らないけれど(笑))

 

ぜひ、介護士国家試験も一発で突破してもらいたいし、そうなったらスゴイよね!

そして、その22か月で学んだ「介護の心」を、日本で存分に発揮して、将来的にはベトナムの介護の創設に尽力して欲しいと願ってやまないし、きっとそうなってくれると信じている。

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