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努君的徒然草2014~

元在ベトナム日本語教師で、看護医療系受験予備校講師の努くんの公式ブログ

日々の行動、活動や、思い出話。 日本語教育や国語教育のこと。 鉄道や駅弁の記録。 ベトナムのことなどなど。 徒然に記します。

「公文書」の現代文訳に挑む

八王子 書籍 歴史 漢文・漢字・漢語 追憶 学生時代 恩師

1988年の春の話である。

3年も浪人して入学した大学で、偶然にも『南化本史記』の研究という大きな事業に巻き込まれた。まだ学問の右も左もわからない、多少漢文読解が得意だという程度の学部1年生である。後に指導教授となる水澤利忠博士が中心となった研究計画が、日本学術振興会の科学研究助成事業(科研費)に採択された、とのことだった。

その後、紆余曲折あって、出版助成を受けた本研究は『史記正義の研究』として世に出ることになった。足掛け7年に及ぶ難事業だった。

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当初はこの『南化本史記』の書入れを一字一字活字に起こし、、、、という気の遠くなような計画だった。

この本は日本に伝わった現存する最古の『史記』とされ、南宋時代の中国から日本へ伝わり、京都の妙心寺の僧・南化が所有し、その後、親交があった直江兼次(上杉家の家臣)が『漢書』『後漢書』などの蔵書とともに譲り受け、米沢藩の藩校で保管されていたものだ。現在は国宝に指定されて千葉県佐倉の国立歴史民族博物館にある。

大学を卒業するころに「これは、もう君が持っていた方が良いから」と、水澤博士に頂いたもの。このページは「太史公自序」(司馬遷の自伝)で各巻を記した理由を説明した箇所である。「南越列伝第五十三」は、今のベトナムにあった南越国に関する記述である。

あ、あった。これだ! ↓ ↓ ↓ ↓

KAKEN - 南化本「史記」の総合的研究(63301062)

史記正義の研究 - 株式会社汲古書院 古典・学術図書出版

僕たち学生が担当した部分は、結局のところ中国の中華書局が出した校点本という活字に起こした本を底本としたので、確実に書き写すことで済んだのだが、「済んだ」と一言で言えるようなお話ではなかったのは事実。とにかく、大変だった。

そもそも、インデックス作りというのは、一字一句の誤字誤植があっても意味をなさない。当時はパーソナルコンピューターが今とは比較にならないくらい普及しておらず、ワープロで漢字が簡単に変換できるわけもなく、全てが手書きの作業であった。あの作業、当時にデータ化できていたら、『史記』の研究はもっともっと飛躍的に進んでいたはずだ。

Windows誕生前夜、まだDOSでパソコンが動いていた時代である。

莫大な量の原稿を取捨選択し、校正をくり返す作業も気の遠くなるような作業であったし、中心となられた先生方のご苦労と根気強さには感服した。書誌学的な学問研究の基礎を叩き込まれたと、今でも感謝している。

この作業が基礎となって、僕の卒業論文、修士論文が生まれることとなる。その時の集計作業も、まだIBM-DOSで動いていた時代のLOTUS1-2-3(表計算ソフト)だった。

データ移行がうまくできず、紙面のデータしか残っていない。

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右の本は、当時参考にして紐解いた「草書の字典」である。たしか、ボロボロになって大学院時代に買い替えたものだ。左のソフトは、単漢字16万字を網羅する、漢字検索・入力ソフトの「今昔文字鏡」漢字の異体字、『康煕字典』の書体から、万葉仮名、甲骨文字、西夏文字、梵字、更にはベトナム漢字チュノムまで収録している。当時こんなソフトがあればねえ、、、、

『史記正義の研究』の印刷を担当された印刷業者さんのご苦労は聞きしに勝り、外字の作成は何万字にも及んだそうだ。

 

さて、こんな思い出話を書く気になったのは、偶然こんな事業に出会ったからである。

昨秋、facebookで偶然再会した中学時代の仲間の投稿を読んでいて、地元・八王子発信で「近代の公文書を現代文に起こすことで、史料を活用するための一次資料」とするプロジェクトがスタートするというのだ。

「南化本史記」の作業でも経験したが、それは「気の遠くなるような作業」になることは間違いない。「一次資料として供する」のならばなおさらのこと、文字校正作業にはには万全を期さなければならない。

映画にもなった三浦しをんさんの小説『舟を編む』で辞書の編纂に16年の歳月と、5校まで校正作業をしたことが描かれている。辞書の完成は、著者にも、編集者にも、名前が載らない大学生の、好事家たちのアルバイト、ボランティアの方たちの影の努力の成果でもある。

「南化本」の時、「アルバイト」のつもりで参加し、途中で逃げ出した挙句に「バイト代」を請求した輩、、、、先輩がいたが、そういう人がいくら手伝ったところで、まともなものにならないのは明白なこと。先生がどのように処理したのかは忘れてしまったけれど、僕たちには「学問の基礎」という何にも代えがたい報酬が今でも残っている。ぜひ、気概を持って取り組んでいただきたいと思うし、何かの形でお手伝いしたいと、正直楽しみにしている。

 

そこで、みなさんにお願いがある。

このプロジェクトを支援するための「クラウドファンディング」が立ち上がっている。

プロジェクトの詳しい内容は、僕が縷々説明するよりもこちらを見ていただいた方が正確だし、わかりやすいので、ぜひ目を通していただきたい。

readyfor.jp

僕がどのように関わるか、まだ具体的には何も決まっていない。でも、そのきっかけとなった友からのメッセージには、、、「陣内、これは陣内の専門分野だ!是非、参加して‼︎」とあった。
日本の近代史は、僕の専門でない。でも、史料・資料の書誌学的な整理という意味では

たしかに気の遠くなるような作業をこなしてきたという自負はある。また「ありがとう!陣内の専門分野なので是非、参加して盛り上げて‼︎」とも頂いている。僕は「もうその気になってる。こちらこそ、ありがとう。」と返信した。

まだ何も決まったわけではないのだけど、ぜひ参加したいと思うし、言われるまでもなく「楽しみ」たいと思う。

皆さんのご支援をお願いします。

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