努君的徒然草2014~

元在ベトナム日本語教師で、看護医療系受験予備校講師の努くんの公式ブログ

日々の行動、活動や、思い出話。 日本語教育や国語教育のこと。 鉄道や駅弁の記録。 ベトナムのことなどなど。 徒然に記します。

41.2%に思う、、、EPAによる外国人看護師・介護士国試結果~その1~

 先週末から相次いで、今年度の看護師国家試験、介護士国家試験の合格発表があった。

日本人の受験者も、外国人の受験者も、まず努力が報われた方には「おめでとう」と思うし、今後の活躍を期待したいと思う。

1997年頃から看護医療技術系、福祉系の受験指導に関わってきて、特にベトナム人看護師養成支援事業(日本の厚生労働省・ベトナムの保健省の認可事業。以下、「ベト看」と記します)に関わるようになってからは、その結果報告に一喜一憂した時期もあったけれど、「ベト看」が56名のベトナム人看護師を生んで募集を停止し、全員の国家試験受験が終了してから、、、、もう何年だ?

日本人の教え子からは普通に「合格しました」の報告が届いたり、風の噂で合格したと聞いたりするのが当たり前の感覚になっていたので、最近はもっぱらEPA経由の外国人看護師、介護士候補者の合格状況が気になっていた。

看護師の国試の例を挙げれば、その合格率は高い数字で推移しているものの、それでも100%というわけにはいかない。医療・看護の分野は日進月歩ということもあり、どうしても養成校(看護専門学校等)を留年してしまったり、過年度卒業生の立場(要するに不合格による再受験)だったりすると、「習った知識を越えたレベルで出題される」というのが現実であり、厳しいと聞いている。また、進学課程(准看護師の立場で国家資格の取得を目指す学校)の学生さんだと、勤務と並行しての学校の勉強、、、、ようするに卒業要件を満たすことと、国家試験の受験勉強が同時進行になるわけで、経験したこともない部外者の僕は「大変なんだろうなあ」と思うことしかできないのではあるが、、、、。

東京の西の端にある都立看護専門学校にまだ進学課程があった頃に、卒業式に出席したことがある。式典の最後に卒業生が自分たちで選んだ楽曲を合唱するというのが、戴帽式における「戴帽式賛歌」と並んで定番であり、感動も最高潮に達するのであるが、同席した「ベト看」の事務局長と、支援病院の方と「進学課程の学生の方が、思いが強いみたいだねえ」「苦労という意味では、想像を絶する苦労だったんでしょうしね」「働きながら5年ぐらいかかってここまでたどり着いたんだよねえ」と頷き合ったものだ。もちろん、3年課程の学生さんより進学課程の学生さんの方が大変だという比較の問題ではないのだけど、「第三者からみたら、そう見えた」という話である。うん、初めて「ベト看」の学生の戴帽式に出席したときの「抱きしめたい」と、あの時の「世界に一つだけの花」はよかった。

 

話が逸れた。

 

最近、「EPAによる外国人看護師、介護士について話を聞きたい」と連絡をいただくことがある。同時に、「EPAって何ですか?」という質問にずっこけることも少なくない。大抵の場合お話しすることは同じで、「あの、看護師や介護士だけがEPAじゃないですよ」という話と、「EPAによる看護師、介護士だけが、外国人看護師、介護士じゃないですよ」という話の2点で終わってしまうは、ちょいとばかし残念である。それだけなら「ググれば~」と言いたいんだけどね(笑)

インドネシアとの2国間経済連携協定(EPA)による看護師・介護士候補者の受け入れが始まったのが2008年(平成20年)、フィリピンが2009年、ベトナムが2014年(平成26年)からなんだけど、そのシステムはあくまでも日本とその当事国との「経済連携協定」に基づいたものなので、国ごとに微妙に要件が異なる。大きな特徴的な違いは、協定上の日本語教育の期間の長さと、日本語能力試験の最低要件だ。

そして、ベトナムからは、既に書いた「ベト看」(ベトナム人看護師養成支援事業)で56名のベトナム人看護師が誕生していたということである。

 

インドネシア・フィリピンがEPA交渉の遡上に載りだしたころは、ちょうど「ベト看」の1期生が日本の看護専門学校を卒業して国家試験に一発合格し、4期生、5期生が国立大学の医学部保健学科に進学者をだし、母性看護学(助産学)専攻者も出たころ。僕は直接的に日本語教育に関わったわけでも、看護学を専門にしているわけでもないのだけど、いろいろな方から日本語教育の内容策定についての意見を求められた。僕レベルでも「ああ、またですか、、、」だったから、事務局は大変だったとは思う。

当時はNHKの「クローズアップ現代」などでEPAによる看護師、介護士受け入れ案件が盛んに取りあげられた。ある番組で、僕も知っているある大手の日本語学校の校長が「フィリピンの人たちの語学学習能力は素晴らしいですからね。2か月もあれば大丈夫です」と豪語していて、開いた口がふさがらなかったビックリしたことがある。そして日本語教育の著名な方から「3か月で日本に入れる」という素案に意見を求められたので、「僕の経験では無理だと思います」と返信したら、それ以降何も連絡がなかった。そして、「6か月の日本語教育で、日本語能力試験N5以上」という最低要件が生まれ、その後の国家試験合格率の低迷は残念な限りであった。

ただ、僕がどう思っていても、そういう協定に基づいて日本にやってきたフィリピン人、インドネシア人の看護師、介護士候補者のご本人たちと、受け入れてくださった施設さん、病院さん、法人さんが真摯に向き合ってきたのは事実であるし、実際、キチンと結果を出してきている法人さんも知っている。同時に、なにやら暗躍している日本語教育業界の人びとも少なくないのが残念であるし、逆に陰に日向に真摯に支援していらっしゃる人びとが少なくないこともまた事実である。

 

そんな経緯があって、ここ数年のインドネシア・フィリピンの国家試験の合格実績には関心を抱いてきたのであるが、2010年にベトナム・ダナンの看護系大学(当時は短期大学)と、日本の中部地方にある社会福祉法人さんが提携して「日本語ー介護クラス」を創設するというニュースが飛び込んできた。そして、「日本語教師、誰が行くんだろう、、、、」と対岸の火事を決め込んでいたら、紆余曲折あって僕が行くことになった。まだ、日本とベトナムのEPA交渉が難航していた時期である。

このクラスは、現役の看護学生のクラス、卒業生のクラス、それぞれに10か月500時間の日本語教育を行い、日本語能力試験N3レベルを取得した上で、日本人の介護教師(ケアマネージャー等)を派遣して、日本語で「日本式介護」を学ぶという、先駆的な事業であった。まだ、EPAによるベトナム人看護師・介護士候補者の派遣に関する交渉は本格化しておらず、入れたい外務省と、入れたくない厚生労働省という構図には薄々気づいていたものの、近い将来あり得ることとして取り組む、、、、「これ、失敗できない」という気負いと悲壮感の中で赴任することになった。

f:id:shibasenjin2007:20120511105913j:plain

 

という思い出話の延長戦で、今回の国試の話を書きたいんだけど、その前提の話として、、、、、、 

看護師は来日1年目から国家試験を受験できるのであるが、ベトナムからの1期生、昨年は1名が合格、今年は14名が合格したという、幸先の良いスタートである。人数では分母が少ないのだから単純な比較にならないのだけど、合格率で言えば、ベトナムが41.2%、インドネシアが5.4%、フィリピンが11.5%で、ベトナムが最も高いという結果である。

www.viet-jo.com

この記事、「初のベトナム人看護師が誕生」とあるが、あくまでも「EPAによるベトナム人の、、、」である。「ベト看」によるベトナム人看護師は既に60名近く誕生しているし、保健師助産師看護師法(保助看法)に基づいて国家試験受験資格を得て看護師になっているベトナムにルーツを持つ看護師は多数存在している。これはベトナム人に限ったことではない。

だから、僕は「EPAによる外国人~」という括りではなく、「外国にルーツを持つ~」という括りで考えるべきだと、常々思っているわけで、前述した「看護師や介護士だけがEPAじゃないですよ」という話と、「EPAによる看護師、介護士だけが、外国人看護師、介護士じゃないですよ」という話に集約されてしまうやりとりに、ここ最近ちょいとばかし食傷気味なのである。

まあ、現行の入国管理法では「介護士国家試験」に合格しても、「介護」の在留VISAは存在しないので、有効なVISAを持つ日本在留者以外は「EPA経由でないと介護士として働く事ができない」という現実もあるのだが、、、、、この件はVISAができますな。

【続きは、次回。】 

★★★★★★★★★★★★★★

ブログランキングに参加しています

よかったらポチッとお願いします

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 

にほんブログ村 オヤジ日記ブログ 40代オヤジへ